温湿度計
湿度の表現
私たちが日頃”湿度”と呼んでいるのは、いったいどんなものなのでしょうか?一言で言うと”湿度”とは「空気(気体)中に含まれる水蒸気の量」を表す概念です。それでは水分と湿度との違いは何でしょうか?水分とは「個体または液体に含まれる水の量」を表します。含むのが気体か固体か?が湿度と水分とを分ける要素になります。
湿度を表す方法は、割合として示す場合など多岐にわたります。以下に湿度の表現方法をいくつかご紹介します。
湿度を表す方法は、割合として示す場合など多岐にわたります。以下に湿度の表現方法をいくつかご紹介します。
• 相対湿度(%RH)
通常、私たちが”湿度”と言っているのは「相対湿度」のことで、天気予報などのように空気中の水蒸気量を割合的に表したものです。正確に言えば「相対湿度」とは、空気中の水蒸気の量(分圧)とその空気が同じ温度のときに含み得る水蒸気の最大量(飽和水蒸気圧)との比率のことを言います。
• 混合比(kg/kg)
「相対湿度」と同様、湿度を割合として示したものに「混合比」があります。「混合比」は水蒸気を含んだ気体において水蒸気以外の気体(乾いた気体)1kgに対して含まれる水蒸気の質量の割合を言います。
• 絶対湿度(g/m3)
単位体積(1m3)の気体中に含まれる水蒸気の質量(g)を表したものに「絶対湿度」があります。絶対湿度は水蒸気の密度に相当し、温度、圧力が変わると気体体積が変わるため水蒸気量が同じでも「絶対湿度」は変化します。
• モル分率(mol/mol)
空気中の水蒸気の物質量(モル)と全体の物質量(モル)との比で表します。
• 水蒸気圧(Pa)
空気中の水蒸気の分圧を表します。
• 露点温度(℃)
空気中の水蒸気圧に水の飽和水蒸気圧が等しくなる温度で表します。水蒸気を含む気体の温度を下げていき、水蒸気が水になり始めるときの温度のことです。
この他にも、比湿(kg/kg)、比較湿度(%)や霜点(℃)、といった湿度の表し方があります。
湿度計の種類
湿度を測る方法もいろいろあります。それぞれに「正確さ」「簡便さ」などの特長があります。以下にいくつか代表的なものをご紹介します。
• 乾湿球形湿度計
「乾湿球形湿度計」とは、家の柱に掛かっていた、2本のガラス製の温度計の一方にガーゼ(ウィック)がついた湿度計です。これは、温度を測定する乾球温度計と、感温部にガーゼ(ウィック)を巻き、そのガーゼ(ウィック)を湿らすための水を入れる水つぼが取り付けられた湿球温度計で構成され、”湿度”はこの2本の温度計の乾球温度と湿球温度との温度差により算出されます。湿球温度は、ガーゼ(ウィック)から水が蒸発して気化熱が奪われるため、乾球温度より低下します。水の蒸発は接している空気の相対湿度により異なり、相対湿度が100%であれば水は蒸発しません。つまり、湿度が低いほど蒸発量が多くなり湿球温度は低下します。(参考:湿球温度換算表)
「乾湿球形湿度計」は、湿度20%くらいからの測定になります。
乾湿球形湿度計は、ガーゼ(ウィック)の取り扱い、十分な通風、水質、温度変動等で誤差を生じますので、常に正確な測定値を得るには、かなりのノウハウが必要となります。また、乾湿計定数という難しいパラメータもあります。
「乾湿球形湿度計」は、湿度20%くらいからの測定になります。
乾湿球形湿度計は、ガーゼ(ウィック)の取り扱い、十分な通風、水質、温度変動等で誤差を生じますので、常に正確な測定値を得るには、かなりのノウハウが必要となります。また、乾湿計定数という難しいパラメータもあります。
• 通風形乾湿球湿度計
アスマン形通風乾湿計が代表です。
感温部に強制的に3~5m/秒の風を送り、より正確に湿度測定が行えるようにしたものを「通風形乾湿球湿度計」と呼び、ガラス製温度計に換えて白金測温抵抗体などを使い電気信号を取り出すものを「電気式湿度計」と呼びます。
感温部に強制的に3~5m/秒の風を送り、より正確に湿度測定が行えるようにしたものを「通風形乾湿球湿度計」と呼び、ガラス製温度計に換えて白金測温抵抗体などを使い電気信号を取り出すものを「電気式湿度計」と呼びます。
• 電子式湿度計
工業界で広く使用されている湿度計です。電子式湿度計は主に、電気抵抗式と静電容量式に分類されます。どちらも水蒸気の吸着を利用しており、この水蒸気の吸着は相対湿度が高いほど吸着量が増加します。水蒸気の吸着量を電気抵抗の変化や静電容量の変化を測定して湿度に変換しています。
- 電気抵抗式
電気抵抗式は、相対湿度によって湿度検出素子の抵抗値が変化する湿度素子が使用されています。相対湿度が高いほど抵抗値は低くなります。20%rh以下の低湿度では誤差が大きくなり測定不可能になることや高温では素子が劣化してしまう点に気をつけましょう。 - 静電容量式
静電容量式は、高分子膜の両面に、真空蒸着によって薄い網目状の電極を設けたコンデンサの形態になっています。つまり、水蒸気が電極を通して高分子膜に吸着すると、このコンデンサに電気を蓄え、その電気容量(静電容量)の変化をとらえるというしくみです。高分子膜が吸収あるいは放出する水分量は測定する雰囲気の相対湿度に比例するので、この吸湿水分量の変化を誘電率の変化としてとらえ相対湿度を測定します。
静電容量式の場合、相対湿度0%のときの静電容量があらかじめ判っているので、低湿度の電気容量の変化を捉え、測定することも可能です。 - 露点温度計(光学式)
現在、最も正確に湿度を測定できる方式です。測定する気体を冷却した鏡の上に導入し、鏡のくもりを光の反射で検出します。鏡が曇り始めるときの鏡の温度を正確に測定することで、露点温度tdを直接測定します。また、測定する気体の温度を別に測定しておけば、測定された温度、露点温度から相対湿度への変換も可能になります。光学式露点温度計は、電子式湿度計の基準器として活躍しています。