温度センサとは?
温度の計測方法はいろいろありますが、計測対象からの熱伝導による接触式の温度計である「温度センサ」とは一体どんなものでしょうか?
試験・研究現場や、工場などの生産現場で温度を測定するために幅広く使われている温度センサは、一般的に熱電対・測温抵抗体といわれる温度センサです。
熱電対とは?
2種の異なる金属線で閉回路を作り、両端の2つの接点を異なる温度に保つと温度差に対応した電流が流れます。(ゼーベック効果)
このうちの一端を切り開いて作った2端子間に直流電圧計を接続し熱起電力を測定することにより温度が測定できます。この原理を利用して、温度を測定するための2種の金属を合わせたものを熱電対(素線)といいます。JIS規格ではK、R、B、S、T、E、J、Nが規定されています。
例:K熱電対の場合、測温接点200℃、基準接点0℃の場合、8.138mVの電圧が発生します。
- 構造
熱電対は、熱電対素線と絶縁管、保護管、端子箱などから構成されています。
- 熱起電力表
- ソリッドパック熱電対
保護管と熱電対素線の隙間に絶縁材を充填した熱電対です。絶縁材に加え、厚肉保護管の採用により、高温、悪性雰囲気中の長時間連続使用にも耐える特長を持っています。 標準品は保護管径Φ10、Φ15、Φ22mmの3種類があります。 - シース熱電対
ソリッドパック熱電対と同様に、保護管と熱電対素線の隙間に絶縁材を充填したものです。ソリッドパック熱電対とは製作方法が異なり、主として保護管径の細いものが容易にできることから応答性が速く、狭い場所、微小物体の測温に適しています。保護管径はΦ0.15、Φ0.3、Φ0.5、Φ1.0、Φ1.6、Φ3.2、Φ4.8、Φ6.4、Φ8.0mmの9種類があります。 - 補償導線
熱電対の端子と基準接点間が離れている場合、熱電対の代わりにその間に接続して使用し、熱電対の端子部分の温度変化によって生ずる誤差を補償します。 - 許容差
測定温度の誤差範囲によりJIS規格にて階級付けされています。
例)K熱電対クラス 測定温度 許容差(℃) 1 -40℃以上 375℃未満
375℃以上1000℃未満±1.5
±0.004×|t|2 -40℃以上 333℃未満
333℃以上1200℃未満±2.5
±0.0075×|t|3 -167℃以上 40℃未満
-200℃以上-167℃未満±2.5
±0.015×|t|
測温抵抗体とは?
金属の電気抵抗は温度の変化に伴って増減し、この温度と電気抵抗値は一定の関係なので、抵抗を測ることによって温度を知ることができます。この原理を利用した測温素子を測温抵抗体といい、素線材料として白金を用いたものが一般的です。
JIS規格ではPt100、Pt500、Pt1000が規定されているが一般にはPt100が多用されている。なお、旧JIS規格のJPt100も一部で使用されている。
- 構造
白金測温抵抗体は、抵抗素子と内部導線、絶縁管、耐振管、保護管などから構成されています。- 白金抵抗素子・・・ セラミック製の巻枠に細い白金線を封入したもの。白金線が熱によるゆがみを受けないようになっており、小形で応答が速く、絶縁性がよい。
- 内部導線・・・ 抵抗素子と端子とを接続する導線で、普通3本のニッケル線が使用され、導線抵抗の影響を除くことができる。
- 絶縁管・・・ 内部導線間の短絡防止用。
- 耐振管・・・ 振動による抵抗素子の破損を防ぐためのものであり、真鍮製である。
- 保護管・・・ 抵抗素子や内部導線を被測温物などから保護するためにある。
- 端子箱・・・ 計器からの導線と内部導線をつなぐ接続端子を納めたもの。
- シース測温抵抗体
保護管と白金抵抗素子の隙間に絶縁材を充填したものです。主として保護管径の細いものが容易にできることから応答性が速く、狭い場所、微小物体の測温に適しています。保護管径はΦ3.2、Φ4.8、Φ6.4、Φ8.0mmの4種類があります。 - 接続導線
測温抵抗体と記録計、調節計などを接続する導線 - 許容差
測定温度の誤差範囲によりJIS規格にて階級付けされている。クラス 許容差 AA ±(0.1+0.0017×|t|)℃ A ±(0.15+0.002×|t|)℃ B ±(0.3+0.005×|t|)℃ C ±(0.6+0.01×|t|)℃
※その他詳細は温度センサのカタログをご覧ください。