Chapter 1
WBGTとは?
WBGTは、 「Wet Bulb Globe Temperature」の略で、 日本語では「湿球黒球温度」といいます。 一般には「暑さ指数」と呼ばれています。
WBGTは、熱中症を予防するための 暑熱環境の評価に用いられる指標です。 気温だけではなく、 人体の熱のやり取りに関係する 湿度や輻射熱などを考慮します。
高温環境では、 気温が同じでも湿度が高かったり、 日射や周囲からの輻射熱が強かったりすると、 人体が熱を逃がしにくくなることがあります。 そのため、気温だけでは暑熱環境を十分に評価できない場合があります。
WBGTは、 乾球温度、湿球温度、黒球温度 を用いて算出します。 環境省では、これらを使ったWBGTの測定・算出方法を紹介しています。
Chapter 2
WBGTを構成する測定値
WBGTの算出には、 乾球温度、湿球温度、黒球温度を使用します。 それぞれ異なる暑熱環境の要素を反映しています。
乾球温度
通常の温度計を用いて測定する温度です。 一般的な気温に相当します。
湿球温度
水で湿らせた状態の温度計を用いて測定する温度で、 水分の蒸発による冷却効果を反映します。 空気が乾燥しているほど、 乾球温度との差が大きくなります。
黒球温度
黒く塗装した球体の温度を測定し、 日射や周囲からの輻射熱などの影響を反映します。
特に日射のある屋外環境では、 気温だけでは評価しにくい輻射熱の影響を 黒球温度によって取り入れることが重要です。
詳しい測定方法については、 環境省「暑さ指数(WBGT)の測定方法など詳しい情報」 も参照してください。
Chapter 3
WBGTはどうやって算出する?
WBGTの算出式は、 屋外で日射がある場合と、 屋内など日射の影響がない場合で異なります。
| 環境 | 算出式 | 考え方 |
|---|---|---|
| 屋外・日射あり |
WBGT =0.7×湿球温度 +0.2×黒球温度 +0.1×乾球温度 |
湿度の影響を反映する湿球温度、 輻射熱を反映する黒球温度、 乾球温度を組み合わせます。 |
| 屋内・日射なし |
WBGT =0.7×湿球温度 +0.3×黒球温度 |
日射の影響がない環境では、 この式を使用します。 |
ここでいう屋外・屋内は、 単に建物の中か外かだけで決まるものではありません。 日射の有無など、 実際の測定環境に応じて適切な算出方法を使用します。
電子式のWBGT指数計については、 JIS B 7922 が規格として定められています。 測定器を選定する場合は、 対象となる測定環境や規格への適合状況を確認してください。
Chapter 4
WBGT値はどう見る?危険度の目安
WBGTには、用途に応じたさまざまな指針があります。 ここでは、環境省が紹介している 「日常生活に関する指針」を例として示します。
| WBGT | 区分 | 日常生活での目安 |
|---|---|---|
| 25未満 | 注意 | 一般に危険性は少ないものの、 激しい運動や重労働時には 熱中症が発生する危険性があります。 |
| 25以上28未満 | 警戒 | 運動や激しい作業をする際は、 定期的に十分な休息を取り入れます。 |
| 28以上31未満 | 厳重警戒 | 外出時は炎天下を避け、 室内では室温の上昇に注意します。 |
| 31以上 | 危険 | 高齢者では安静状態でも発生する危険性が大きく、 外出をなるべく避け、涼しい室内へ移動します。 |
ここで示しているのは 日常生活に関する指針です。 運動や労働では、 それぞれの指針・管理基準を確認してください。 WBGT値だけで作業の中止などを一律に判断するものではありません。
環境省では、 全国のWBGT実況値・予測値も公開しています。
Chapter 5
WBGTと熱中症警戒アラートは何が違う?
WBGTと熱中症警戒アラートは、 どちらも熱中症対策で使われますが、 同じものではありません。
| 項目 | WBGT | 熱中症警戒アラート |
|---|---|---|
| 何か? | 暑熱環境を評価する指標 | 熱中症への警戒を広域に呼びかける情報 |
| 用途 | 現場・施設などの暑熱環境を評価 | 地域の熱中症リスクに対する注意を促す |
| 使用方法 | 現地で測定・監視できる | 環境省等から発表される情報を確認する |
そのため、 地域全体の状況を把握するには 熱中症警戒アラートなどの情報を確認し、 「今、この工場、この体育館、この作業場所がどうなのか」を把握するには、 現地のWBGTを測定・監視するという使い分けが考えられます。
環境省「熱中症予防情報サイト」 では、 WBGTの実況・予測や熱中症警戒アラートに関する情報を確認できます。
Chapter 6
WBGT監視システムに求められるもの
WBGTを熱中症対策へ活用する場合、 一度測って終わりではなく、 現場の状態を継続して把握できる仕組みが重要になります。
实时监视
温湿度や黒球温度などを測定し、 現在のWBGTを確認できるようにします。
警報・通知
あらかじめ設定した管理条件に応じて、 画面表示やメールなどで 担当者へ知らせます。
一覧・グラフィック表示
複数の体育館、校庭、工場エリアなどを 一つの画面から確認できる構成にします。
履歴記録
WBGTや関連する測定データを記録し、 後から環境の推移を確認できるようにします。
WBGT監視システムは、 「危険なら自動的に作業を中止する装置」ではありません。 測定値を、 休憩、水分・塩分補給、 環境改善、活動内容の見直しなどの 安全管理を行うための判断材料 として活用することが基本です。
Chapter 7
導入事例|藤岡市立小野小学校様
群馬県藤岡市の藤岡市立小野小学校様では、 体育館と校庭にWBGT計測ユニットを設置し、 WBGT、温度、湿度を計測しています。
暑さ指数はレベルに応じて表示を切り替え、 イラストやコメントを組み合わせることで、 現場の利用者が状況を把握しやすい表示としています。
上位レベルの警報発生時には担当者へメールで通知する運用とし、 体育館や校庭を使用する授業の実施判断に 活用いただいています。
これは導入事例における運用例です。 実際の活動判断は、 学校・施設の管理方針や関連する指針に基づいて設定する必要があります。
Chapter 8
システム仕様例|WBGTの一括監視
JIS B 7922 クラス1.5 電子式湿球黒球温度(WBGT)指数計に準拠した構成
チノーでは、 WBGTを測定する計測ユニットと データ収集・監視システムを組み合わせ、 工場など複数箇所の暑熱環境を 一括して監視する構成例を提供しています。
工場内の温湿度、黒球温度、WBGTを リアルタイムで監視する構成です。
警報発生時には、 メール通知、グラフィック画面、 アラーム履歴などから状況を確認できます。
屋外の日射がある環境では、 輻射熱の影響を評価するため、 黒球温度を含む適切な測定方式を使用することが重要です。
システム構成例
| 监视和收集 |
監視アプリケーションソフト
CISAS/V4
100点 グラフィック1面 リアルタイムトレンド データリスト 警報一覧・警報履歴 |
|---|---|
| 数据收集 |
無線ロガー送信器
MD8000シリーズ
計15点 測定環境に応じた温度センサ・ WBGT計測ユニット |
システム構成や点数などは構成例の内容です。 実際のシステムでは、 測定場所、必要な点数、通信環境、 警報方法などに応じて構成を検討します。
Chapter 9
置くだけで使える熱中症監視ユニット
大規模な監視システムだけでなく、 よりシンプルにWBGTを確認したい現場向けに、 チノーでは「置くだけ熱中症監視ユニット」も提供しています。
システムの規模や監視箇所、 必要な記録・通知機能などに応じて、 適した構成を検討することが重要です。
関連サービス
FAQ
WBGTについてよくある質問
WBGTとは何ですか?
WBGTは「Wet Bulb Globe Temperature」の略で、 日本語では「湿球黒球温度」といいます。 一般には「暑さ指数」と呼ばれ、 熱中症予防のために暑熱環境を評価する指標として使われます。
WBGTは気温のことですか?
いいえ。 気温だけではなく、 湿度や輻射熱などの影響を取り入れた指標です。 同じ気温でも環境条件によってWBGTは変わります。
WBGTが高いほど危険ですか?
一般にWBGTが高くなるほど、 暑熱環境によるリスクに注意が必要になります。 ただし、実際の判断には活動内容、作業負荷、個人差、 施設環境なども関係するため、 WBGT値だけで判断を完結させないことが重要です。
WBGTが28℃なら作業を中止すべきですか?
一律にそう判断することはできません。 環境省の日常生活に関する指針では、 28℃以上31℃未満を「厳重警戒」としていますが、 労働や運動では、それぞれの指針・基準に基づいて判断する必要があります。
屋内でもWBGTを測る必要がありますか?
屋内でも高温多湿な環境や、 高温設備からの輻射熱がある場合などには、 暑熱環境の評価が必要になることがあります。 屋内と屋外ではWBGTの算出式が異なるため、 測定環境に合った機器を選ぶことが重要です。
屋外では黒球温度を測る必要がありますか?
日射のある屋外環境では、 輻射熱の影響を評価するため黒球温度を利用します。 WBGTの測定方法については、 環境省が乾球温度・湿球温度・黒球温度を用いる方法を示しています。
WBGTを監視するだけで熱中症を防げますか?
監視するだけで熱中症を完全に防げるわけではありません。 WBGTを安全管理の判断材料として、 水分・塩分補給、休憩、作業環境の改善、 作業時間の調整などの対策と組み合わせることが重要です。
WBGT値を記録しておくメリットは何ですか?
過去の暑熱環境の推移を確認したり、 作業環境の改善前後を比較したりできます。 施設・職場の安全管理に必要な記録として 活用できる場合があります。
まとめ
WBGTは「暑さを測る」だけでなく、安全管理へつなげるための指標
WBGT(暑さ指数)は、 気温だけではなく、 湿度や輻射熱などの熱環境を取り入れて 暑熱環境を評価するための指標です。
特に夏場の屋外作業、 スポーツ施設、学校、工場などでは、 気温だけでは把握しにくい暑熱環境を評価するために WBGTを活用できます。
ただし、 WBGTの数値だけで安全・危険を機械的に判断するのではなく、 活動内容、作業負荷、個人差、施設環境などを考慮し、 水分・塩分補給、休憩、作業環境の改善などと 組み合わせて運用することが重要です。
最新の暑さ指数や熱中症警戒アラートについては、 環境省「熱中症予防情報サイト」 で確認できます。
Reference
WBGTについてさらに詳しく知りたい方へ
WBGTの定義、算出方法、現在の暑さ指数や 熱中症警戒アラートについては、 公的機関の情報もあわせて確認してください。
※外部サイトへ移動します。 基準・指針等は最新情報をご確認ください。